尋常性坐瘡(にきび)6
 患者は25歳、女性。19歳の頃から尋常性坐瘡(にきび)が出始め、近くの皮膚科にかかっていたがあまり良くならず、当院でアトピー性皮膚炎が治った義姉の勧めで1999年10月13日、漢方治療を受けるために当院に来院した。
 身長やや高く痩せていて(162cm、50.5kg)。便通は1日2行、汗をかきやすく、めまいと立ちくらみが軽度にあり、顔面のほてりと手足の冷えが軽度にある。顔面に著明な赤色丘疹が見られた。脈はやや沈・小・弱で、血圧92/60mmHgであった。生理は順調だが時に不順になり、生理痛が非常に強く、1日目には謳気や寒気がある。腹侯は腹力中等度、臍の上部に動悸があり、腹直筋は軽度に攣急している。お血の圧痛が著明であった。
 全体像から判断してやや虚証であり、桂枝湯に茯苓・桃仁・牡丹皮をそれぞれ3g入れ(虚証向きの桂枝茯苓丸)、さらにヨクイニンを16g、丘疹の潮紅が強いため黄連1gを入れた薬方を処方した。
 漢方薬服用後2週間後にはやや悪化したが、その後はにきびは順調に改善していき、1年後に完治に近い状態となった。2週間後の一過性の増悪は、ずっと使用していた抗生物質の塗り薬を漢方薬服用を機に中止したためと思われる。
 2001年2月28日(初診より約1年7ヶ月後)電話でその後の状態を問い合わせてみると、母親が出られて、その後の皮膚の状態は良いとのことであった。

顔面正面 右顔面 左顔面
初診時

(1999.10.13)

2週間後

(1999.10.27)

1か月後

(1999.11.10)

3ヶ月1週間後

(2000.01.20)

7ヶ月後

(2000.05.12)

1年後

(2000.10.31)