柴胡桂枝湯の加味方が奏効した尋常性乾癬(瞑眩)
 患者は51歳、女性。約2年前から肘に皮疹が出現し、近くの皮膚科に受診したがこの病気は治らないから一生仲良くしていくいくことといわれてかゆみ止めの塗り薬を塗っていた。夏はまだ良かったが2000年10月頃からまたひどくなってきた。皮膚科では根気よく治療することをすすめられていたが、インターネット乾癬の治験例を見て、思い切って宇治市から、2001年5月2日当院に受診した。
 身長158cm、体重52.8kg、脈は浮・中・弱、腹部は腹力中等度、胸脇苦満は軽度、腹直筋の攣急も軽度、圧痛点はない。甘い物は好きでよく食べているが、肉類はそれほど食べない。初診時は全身に境界鮮明な紅斑が出現していた。証に従って柴胡桂枝湯加黄耆を与えたところ、初めの1ヶ月半はひどく悪化してしまった。しかし、ステロイドのリバウンドの可能性もあると判断して、同じ薬方を継続していったところ、その後は著しく改善し、初診時から約4ヶ月経過した時点ではほぼ完治した。2ヶ月分の処方をもって廃薬にした。その後も再発なく良い状態である。
 この症例の一時性の悪化はステロイドのリバウンドだけでなく漢方薬服用による一過性の増悪いわゆる瞑眩(めんけん)であった可能性がある。

大腿部 下腿部
初診時

(2001.05.02)

5週間後

(2001.06.11)

2ヶ月3週間後

(2001.07.24)

4ヶ月3週間後

(2001.09.27)

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