自家感作性皮膚炎を合併した掌蹠膿疱症
【症例】
53歳 女性
【主訴】
手掌と足底の膿胞性病変と全身に及ぶ湿疹
【家族歴】
特記すべきことなし
【既往歴】
特記すべきことなし
【現病歴】
約15年前より手湿疹があった。5年前から夏期は全身に湿疹が出るようになった。平成19年はリンデロン錠(0.5mg)3錠服用して治ったかに見えたが効果は服薬中のみで減量するとまた増悪した。漢方治療を求めて平成20年9月12日当院に来院した。喫煙0本/日。
【現症】
身長163.7cm、体重63.6kg、血圧128/79mmHg、喫煙歴なし、便通1回/1日、排尿昼5-6回、夜間0回、睡眠不良、食欲良好、口渇(++)、汗首から上に多い、寝汗(-)、めまい(-)、立ち眩み(-)、耳鳴り(-)、吐き気(-)、顔の火照り(+)、足の冷え(±)、肩凝り(-)、痛み(-)、かゆみ(++)、脈博76/分、脈候沈・太さ中・強さ中、腹力軟、悸動(-)、苦満(-)、痞硬(-)、攣急(-)、お血(-)、臍下不仁(-)、胃内停水(-)
手掌と足底に膿疱と落屑、紅斑を伴う掌蹠膿疱症に特徴的な湿疹を認めたるのみならず、全身に点状から斑状の湿疹を認めた。汎発性湿疹の状態だが、自家感作性皮膚炎とも見えるような所見であった。
【アレルギー関連の検査結果】
IgE RIST 174IU/ml、WBC 8200 (Eosino 13.9%)
【経過】
全身性の湿疹であったので、桂枝湯ではなく、白虎加人参湯と防已黄耆湯を選定し、適宜紫雲膏、ステロイド軟膏、プロトピック軟膏を併用した。2週間後に来院していうには漢方薬を服用してわずか3、4日すると全身の赤みがとれてきたそうである。診察すると確かに全身の紅斑がとれていた。以後は増悪することもなく順調に手掌と足底の病変、全身の湿疹が改善していった。7ヶ月後には手掌足底病変だけでなく全身の湿疹もほとんど消失した。今は治療を開始して10ヶ月あまりになる。毎年夏期には増悪する傾向があり、やはり6月頃より一過性の増悪が見られている。しかし、黄連解毒湯の追加投与により軽快し、昨年よりは楽に過ごせている。初診時と7ヶ月後の写真を供覧する。
夏は昨年よりは数段増悪が少なく、冬になり元の良い状態に復した。
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