潰瘍性大腸炎
症例1
H 5.8.3153才、男性(航空会社事務)
4年前から潰瘍性大腸炎、某病院外科に入院(2ヶ月)×2回。
20日前から下血、1日数回の下血と粘液便、新聞で漢方が良いと知り、当院に来院。
半夏瀉心湯14日分、ステロイド(−)。
H 5.9.09下痢は止まったが腹が張るとのこと。
桂枝加芍薬湯14日分- (B)
H 5.9.22(B)+当帰、せんきゅう、艾 各1g追加。その後、改善(約8ヶ月間)。
H 6.5.25突発性難聴で同病院入院。薬(−)。
H 6.7.194日前より出血始まる
同上薬方で改善(約8ヶ月間)。
H 7.5.11イタリヤ旅行(10日間)、帰国後、血便少し出る。処方同上56日分。
H 7.7.06まだ、少し血便ありと。
処方 同上+艾(1)・乾地黄(4)・阿膠(4)
H 7.8.31すっかり良くなった。処方 同上
約8ヶ月間具合良し。約6ヶ月間は漢方薬を半分にしている。
H 8.3.273月初旬、海外旅行、帰国後また出血。処方 同上
H 8.5.29まだ血便ありと。
処方 桂枝加芍薬湯+当帰(5)・せんきゅう(5)・艾(4)・阿膠(4)
その後約16ヶ月間具合良くなる。薬は半分服用。
H 9.10.099月中旬、暴飲暴食2回、その後、また下血と下痢。
処方 同上、かなり良くなってきた。
H10.1.26まだ出血あり(2日に1度)。
処方 同上+黄連・黄檗・梔子・おうごん 各1g。
その後約1年間具合良し。
H 11.1.14下血(−)。処方 同上、1年間具合良し。
H 12.1.28全く具合良い。処方 同上28日分。
現在(サラゾピリン2Tab/回×2回/日)。

症例2
H. 7. 2.1611年前より潰瘍性大腸炎で、プレドニンを使用すれば良くなるが、減量してくると、血便と下痢が出てきて、既に5回ほど入院した。新聞で漢方が良いと知り来院。現在サラゾピリンの他に整腸剤とプレドニン7.5J/日(=1.5tab)を服用している。
Rp1)桂枝湯合M帰膠艾湯14日分
6.14服薬して調子よいので、この日からプレドニンを0.5J/日(=1/2tab)にしていった。調子よいようである。
9.14舌の腫瘍で耳鼻科入院。
10.21ステロイドをまた7.5J/日にした。
11. 1ステロイドを30J/日にした。
11. 9舌腫瘍の手術。
12.13排便回数5〜6回/日なので附子(2.0)を追加した。すぐ、2〜3回になった。
以後、同一処方で調子よい。
H. 9. 7. 1全く調子よいので7カ月ぶりに来院した。プレドニンは朝1錠、 夜1錠服用している。
Rp1)同上
H.10. 7.28薬を1日おき、2日おきに服用して具合よければ、廃薬をす。
H.11.12. 1具合よし。Rp1)同上56日分
今もプレドニンは2錠/日服用している。忙しいので家人が薬のみを取りにきている。


症例3
H. 6. 8.19 約10年も前から潰瘍性大腸炎で、何回も入退院を繰り返している。
痔瘻もあって、人工肛門をつくった。
約4年前から様々な漢方薬を服用している。(サラゾピリン1日6錠)
        1. 葛根黄連黄ごん湯
        2. 千金内托散
        3. 十全大補湯
  約     4. きゅう帰膠艾湯
        5. 補中益気湯
  4     6. 排膿散及湯
        7. 温清飲
  年     8. 帰耆建中湯
        9. 抑肝散加陳皮黄ごん黄連
  間    10. 白頭翁加甘草阿膠湯
       11. 柴胡桂枝湯
       12. 益気養栄湯
       13. 柴苓湯
H.10. 7.29Rp1)柴苓湯28日分(ペンタサとリンデロン坐薬のみ)
H.11. 1.13下血。
Rp1)桂枝湯合きゅう帰膠艾湯7日分
1.20下痢よくなってきた。下血(+)。
2.10下痢(-)。 少し血がついているのみ
3.10Rp1)同上 + 白朮(4)・茯苓(4)・人参(4)
3.24血便(-)。 便通1日2〜3回。
4.21下血(-)、下痢(-)。 Rp1)同上
7. 7過労(6時半〜11時帰宅)が続き、また、出血が出た。
7.12入院。下血(+)。うみが多い、と。
7.26Rp1)同上 + 艾(3)・阿膠(3)
8. 4出血がへってきた。
8.12 退院。Rp1)同上  勤務場所少し忙しくない所に変更してもらった。
10.20血便(-)。便通1日2〜3回。
12.15 人工肛門周囲膿瘍。 Rp1)同上
H.12. 1. 5 血便なく、調子よい。
ペンタサ1回3錠・1日3回。
リンデロン坐薬 隔日に1回使用。

コメント:潰瘍性大腸炎の西洋医学的な一般的な治療としては、ペンタサ、副腎皮質ステロイド投与、増悪時には絶食、最終的には外科的切除などである。漢方的には上に述べたような薬が使えるが、やはり軽快と再燃を繰り返しながら、徐々に治っていく経過をとることが多いようである。